実演者の権利を守り、地位向上について考えます

委員による意見・提言等

実演者地位向上委員会からの提言②

                                      (2025年1月31日)
一般社団法人映像実演者協議会 御中
<実演者地位向上委員会から二次利用作品に関しての提言>
                                          実演者地位向上委員会
                                          委員 園田 寿
                                          委員 高山 佳奈子
                                          委員 要 友紀子
                                          委員 平 裕介
                                          委員 亀石 倫子
                                          委員 守 如子

 当委員会は、AV作品の二次利用について検討を重ねてまいりました。前回の委員会においても著作権・AV出演被害防止・救済法(性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律)に精通した複数名の弁護士から意見を聴取するなどをし、それを元にさらに当委員会で検討をいたしました。この検討結果に基づき、貴会に対し、以下の提言を行います。
 AV作品は著作権法上では映画の著作物とされ、いわゆるワンチャンス主義が適用されますが、ワンチャンス主義は任意規定であり、契約によってその適用を排除できることに加え、出演者の地位を向上するという観点から、出演契約等において過去の出演作品の二次利用について出演者の意思確認がなされ、二次利用についてその許諾を要するものとすることが望ましい姿であると考えます。
 また、AV出演被害防止・救済法4条1項は、出演契約は性行為映像制作物ごとに締結しなければならない、と規定しているところ、撮影した映像を新たに再編集して「オムニバスAV」などの二次利用作品として制作公表する場合で、その作品が出演契約に基づく性行為映像制作物と「同一性」のない、別の性行為映像制作物として制作公表されるときには、最初の出演契約とは別の「出演契約」として新たに出演者との契約を締結する必要があります(内閣府のAV出演被害防止・救済法内閣府解説資料にも同趣旨の解説があります)。そして、この同一性の判断は容易ではない場合があり、特に作品の文脈などが元作品とは異なるようなときなどには、再度倫理上の審査を行うこととされてきたことを考慮すると、この同一性の範囲の確定のためにも、あらかじめ出演契約等において二次利用について出演者の許諾を要するものとした上で、その許諾の範囲を契約上できる限り明らかにしておくことが妥当だと考えます。特にこの同一性の範囲が不明確な場合等には、二次利用作品を制作・公表する際に、再度別の出演契約を締結し、契約書において別途その報酬を定めることの必要性が高いものといえます。
 以上の事から、AV作品を出演者に無許可で、契約を締結することなしに制作・販売されている事態は、出演者の地位を向上するという観点からもAV出演被害防止・救済法の趣旨からも望ましいことではありません。
 貴会におかれましては、以上のような二次利用作品の制作・公表に関する出演者の意思確認や契約の締結が望ましいものであることを出演者及び関係者に働きかけるようお願いいたします。

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